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生物多様性研の学生が第71回日本生態学会で発表しました。

生物多様性研究室の柴政幸君 (博士課程2年) が、第71回日本生態学会(横浜国立大学)にて発表しました。

 

外来種コセンダングサの風ストレス変化に伴う比較形態学的及び生態学的研究

演者: 柴政幸(博士課程2年)、小林渚咲(学部4年)、福田達哉

要旨:都市では、建築物等の影響により風速が低下することが知られている。この風速の低下が外来種の繁殖に与える影響をコセンダングサ(Bidens pilosa L.)を例に解析を行った。本研究では、風速低下集団として防風設備を施したOpen Top Chamber(OTC)集団(35個体)と、その対照集団(36個体)の成長に伴う比較形態学的解析を行った。このOTCは温室効果排除のために屋根はつけず、また地上から約15cmの空気侵入口を設けた。解析に関しては、栄養成長期では茎長、根元直径、節数、葉面積を、また生殖成長期では花茎長、花茎数、花序数を、さらに種子生産後は種子数の計測とともに、葉・茎・根・種子の乾燥重量の測定を行い、各計測項目に対する比較を行った。その結果、OTC集団は茎長と葉面積は大きく、そして節数が有意に多くなり、また対照集団は根元直径が太くなったことが示され、風ストレスの影響が反映された結果、栄養成長期の両集団は大きく異なる草姿となった。コセンダングサは一年草であるために翌年への地下資源の貯蓄が不要であるため、根の乾燥重量(資源投資量)は両環境間で有意差は認められなかったが、地上/地下の分配比とした場合、対照集団が低い値を示し、風ストレスが根へ資源を投資させている要因であることが示された。花茎長はOTC集団の方が大きいものの、花茎数は対照集団の方が多いことが示された。一年草のコセンダングは、獲得した資源を最大限次世代に投資するために、風ストレスにより花茎長が制御された対照集団は、花茎数を増加させることにより繁殖への投資量を維持するようにしているものの個体あたりの種子生産量はOTC集団の方が多いことが明らかとなった。これらの結果から、都市の建築物等は風速の低下の観点からコセンダングの繁殖に貢献していることが示唆された。

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