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一般物理研究室

世田谷キャンパス6号館2階

教員 講師 中村正人 なかむらまさと
研究内容 物理学を中心とした自然科学教育法の研究
社会との接点 自然科学教育は現在と未来を支える

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研究内容

物理教育研究(Physics Education Research;PER)―アメリカから始まった物理教育の改善実践―は物理と教育とを結ぶ研究領域である。認知科学,心理学,教育学の成果を取り入れ,物理学習者の学習成果を分析することで,効果的なカリキュラムや教授方法の開発をしている。PERの豊かな成果の1つに「誤概念」の存在,普遍性,その克服の困難さがある。小さな頃からの経験で私たちは自分の中に素朴な自然観を生み出している。しかしその中には,ある条件下での自分の体験をもとにして不適切な一般化や論理(吟味)の飛躍により作られた様々な考えがある。例えば,「力を加えるのをやめると物体は止まる」である。それら自然科学的には誤った考えを誤概念(生活概念,素朴概念)と呼ぶが,誤概念はどの国の学習者にも同じく見られる普遍的なものであり,さらに学校で物理を学べば簡単に修正できるというものでもない。高校で物理を学んだ学生でも,学習内容と誤概念が共存し,教室外の日常生活では誤概念で考えているために,問題を解く時には「覚えた」解き方を使うということが起こる。本研究室では学習者の調査をしながら,誤概念の存在を視野に据えた新たな教材・カリキュラム開発を目指す。

ところで,中学校の理科までが全ての国民が共通で学ぶ内容である。この重要性から,PERのような研究・分析の道具はないが,評価方法を開発し,学習者が正しい自然科学の概念を形成しやすい教材・カリキュラム開発も研究テーマとする。

社会との接点

正しい自然科学的認識は現在・未来を一人一人が主体的に生きようとするときの1つの判断のベースである。自然科学の成果が教科書やテストだけのためのものである,と考えていなくても,生活概念(誤概念)を自然科学的に吟味せず,そのままにしておくのは教育として不十分である。新しい知識による吟味で,生活概念―さらに広く言えばそれまでの人類の持つ自然観―を修正し続けていくという自然科学の学問観を育てることが,静かでも長い影響を社会に与えることができると考えている。

主な卒業研究テーマ

  • PERに基づいた物理学の教材・カリキュラムの開発
  • 中学校理科(主に第1分野)における学習者の概念形成過程の調査と教材・カリキュラムの開発
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