世田谷キャンパス6号館2階
教員 | 教授 福田達哉 ふくだたつや |
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研究内容 | 生物と気候・風土との関係、生物間の相互作用、生物の体内ではたらく物質などを調べる。 |
社会との接点 | 生態系を正しく理解し、人間と他の生物の共存をはかるとともに、生物から有用な物質を取り出して、人間の健康な生活に役立てる。 |
研究室をさらに詳しく
研究内容
35億年以上前に地球上に生命が生まれてから、数多くの生物が繁栄・絶滅して現在の多様な生物種からなる生態系が形成されてきました。本研究室ではこのような多様な生物の不思議を解明することを目標としています。このため、生物と気候・風土との関係、生物間の相互作用、生物の体内ではたらく物質などを調べます。また、応用例として、生物のもつ化学物質を利用した医薬品、抗菌剤、除草剤、香料などを探索します。研究手法は、
- 野外における観察
- 生物の栽培・飼育・培養条件の確立
- 分析機器による化学的な分析
- 栽培・飼育・培養個体及び培養細胞による生物学的試験
- コンピューター・シミュレーションなど
を組み合わせます。
どのような研究テーマにおいても、表面的な解析や観念的な理解だけでなく、個々の生物は物質の集合体であるという化学的な立場を重視するとともに生物間の相互作用にも留意して研究を進めています。生物は、自分の身を守るために、特有の化学物質をもっているので、これらをうまく取り出すことができれば、人間に役に立つ医薬品、抗菌剤、除草剤などを作ることができます。このほか、生物を構成する物質に関する知識は、食品の加工、保存などにも役立ちます。
社会との接点
- 生態系の的確な解析と把握を行い、人と人以外の生物との共存・共栄を探る。
(日々の生活の中での生物にからむ事象の把握に基づき、人と他の生物との共存・共栄を探る) - 医薬・農薬などの開発につながる基礎知見を探る。
- 新規食糧源の探索につながる基礎知見を得る。
- 日々の生活事項の生物学的観点からみた科学的背景を解明し、生活改善に寄与する。
主な卒業研究テーマ
- 菌類の種分化について調べる。
- 生物の生き方と環境要因との関係を調べ、その生存戦略を探る。
- 植物・菌類から医薬品、香料などの原料を抽出する。
- 植物・菌類を利用した抗菌剤、除草剤などを開発する。
- 植物・菌類の薬用成分の効果を、実験動物を使って調べる。
- 生物から得られた化学物質の毒性の有無を、培養個体や培養細胞を使って検査する。
- 動物の行動に関わるホルモン・フェロモンや植物・菌類の相互作用に関わる化学物質について調べる。
- 動物どうしの意思疎通(言葉)について調べる。
- 生物の生息数の変動を数学的に解析する。
学生の学会発表 2017/9~
アジア菌学会議2019(三重県文化会館)2019年10月3日
Ecological aspects of ammonia fungi in serpentine soil
環境情報学研究科環境情報学専攻修士課程二年生の深山寛人君が、2019年10月1日から4日まで津市の三重県文化会館で開催されたAsian Mycological Congress2019(アジア菌学会議2019)において発表を行いました。同大会には、東アジア各国、東南アジア各国、南アジア各国、イスラエルを含む西アジア各国に加え、ヨーロッパ各国、ニュジーランド、オーストラリア、南アメリカ、アメリカ合衆国、メキシコから菌学分野の350名強の研究者が集いました。深山君は大会運営委員会で口頭発表の価値ありとの判断を受けて口頭発表枠に採用され、同会館の小ホールで開催された第12セション(大会3日目)で発表しました。小ホールとはいえは250名の収容可能な大きな会場であり、多くの聴衆が会場後部に陣取っており、初めて英語での口頭発表を行う者にはかなりの困難を伴うと思われましたが、深山君は落ち着いて明瞭な口調で発表を行いました。発表後、持ち時間ぎりぎりまで3件の質問があり、英語での回答に苦戦していたものの、何とか無事発表を終えました。換言すれば、発表内容は聴衆に十分伝わっており、同研究内容も聴衆の興味を引くものであったと判断されます。深山君は、国際学会でのポスター展示発表の経験をもっていたものの口頭発表は初めての経験であり、今回の発表は高く評価できます。
Construction of a model system to analyze the decomposition process of bamboo culm adopting mushrooms in Agaricomycotina
環境情報学研究科環境情報学専攻修士課程二年生の越知丈裕君が、2019年10月1日から4日まで津市の三重県文化会館で開催されたAsian Mycological Congress2019(アジア菌学会議2019)においてポスター発表を行いました。同大会には、東アジア各国、東南アジア各国、南アジア各国、イスラエルを含む西アジア各国に加え、ヨーロッパ各国、ニュジーランド、オーストラリア、南アメリカ、アメリカ合衆国、メキシコから菌学分野の350名強の研究者が集いました。越知君はまず、大会2日目に、900名強収容の中ホールにおいてポスター要旨の口頭での紹介(2分間)に挑みました。この要旨紹介は、大会3週間前に、大会本部から突如webで連絡があり、大会10日前に公式ホームページで発表形式の告示があったため、また、極めて大きな会場が割りあてられたため、多くの発に戸惑いが生じ、大会側の指示通りの形式では発表できていな者が多々みうけられましたが、越知君は、大会側の指示通りに無難に発表を行いました。大会3日目の午後は、本来のポスター展示発表指定日でしたが、大会運営上の問題があり、いずれの発表にも聴衆は少なく閑散としていました。幸い、越智君の発表には、少ないとは言え、興味をもった方々が訪れてくださり、熱心な討議が行われました。初めての国際学会の発表としては、上々のできと判断されます。
日本菌学会第63回大会(秋田県立大学)2019年5月26日
蛇紋岩地の常緑樹林におけるアンモニア菌の生態学的研究
環境情報学研究科環境情報学専攻修士課程二年生の深山寛人君が、2019年5月24日~2019年5月26日に、秋田県立大学生物資源学部で開催された一般社団法人日本菌学会第63回大会において「蛇紋岩地の常緑樹林におけるアンモニア菌の生態学的研究」という話題でポスター展示発表を行いました。深山君にとっては、学部時代から通算で3回目のポスター展示発表(これ以外に口頭発表が1回あります。)となりましたが、今回は、他のポスター展示発表と比較しても、多くの聴衆が訪れた発表の一つとなり、今後の研究の展開の参考になる情報も多数得られたため、極めて成果のあがった、院生にふさわしい研究成果発表となりました。
日本きのこ学会第22回大会(函館アリーナ)2018年9月13日
蛇紋岩地における腐生性のアンモニア菌
平成30年9月12日から14日まで「日本きのこ学会第22回大会」が函館アリーナで開催されました。地震直後の混乱のため多くの学術集会が中止・延期を余儀なくされるなか、全国から200名を超える大学の研究者や学生、研究所や企業の研究者が集い、予定通りにすべてのプログラムが無事遂行されました。本研究室からは修士課程1年生の深山寛人君がポスター発表を行い、大会参加者と討議を重ねました。
第62回日本菌学会大会(信州大学農学部)2018年5月26日
アルカリ土壌の林床における尿素処理の効果
修士課程1年生の深山君は、第62回日本菌学会大会に出席し、卒業論文と修士課程での研究をまとめて「アルカリ土壌の林床における尿素処理の効果」という内容で口頭発表を行いました。同大会の参加者は約300名で、口頭発表は3会場に分かれて行われました。
Asian Mycological Congress 2017 (2017年度アジア菌学会議)(Tan Son Nhatホテル,ホーチミン,ベトナム)2017年10月12日
Occurrence of ammonia fungi and changes in soil conditions after urea treatment in alkaline soils
4年生の深山君は、2017年度アジア菌学会議(国際菌学連盟のアジア・オセアニア支部の大会) に出席し、ポスター発表を行いました。同会議には、アジア・オセアニアの各国及びカナダ、ドイツ、オランダ等から約200名の研究者や学生が参加しました。深山君は各国の参加者からするどい質問を受け、懸命に対応していました。そのうちの何人かは、発表の内容から深山君を修士課程の大学院生と思っており、4年生と知って驚いていました。