生物多様性研究室の柴政幸君 (日本学術振興会特別研究員)が、日本植物分類学会 第25回大会(熊本大学)にてポスター発表しました。
渓流沿い植物キシツツジの茎における解剖学的・力学的分類形質
(本番では「渓流沿い植物キシツツジの枝における力学的・解剖学的分類形質」に修正しております)
著者:〇柴政幸・黒滝魁斗・福田達哉(都市大・院自然)
要旨:植物は多様な環境への適応に伴い形態学的・解剖学的形質を分化させてきたが、河川沿いの増水域に適応した木本植物における支持器官の力学的特性に関する評価は十分に行われていない。本研究では、渓流沿いに生育するツツジ科木本植物キシツツジと、その近縁種モチツツジを比較し、枝の力学的特性ならびに解剖学的特徴を明らかにすることを目的とした。力学的解析からは、キシツツジの方が曲げ弾性率および曲げ強度が有意に低く、破断ひずみが有意に高かった。解剖学的解析からは、キシツツジの方が高い皮層組織面積率を有し、モチツツジは髄組織面積率が高かった。さらに機械的組織において、キシツツジは単位面積あたりの道管細胞質面積率が高い一方、モチツツジでは細胞質面積、細胞壁面積率および細胞⻑が有意に高かった。
これらの結果から、キシツツジの枝はモチツツジに比べて「弱い荷重で変形しやすく、大きく曲がる」特徴を有することが明らかとなった。また、このキシツツジの枝の挙動には、水平方向における相対的な細胞壁占有率の低下および垂直方向における厚壁細胞の短小化といった細胞レベルの特徴が関与している可能性が示唆された。特に後者の特徴は、ゼンマイとの比較から、渓流沿い植物ヤシャゼンマイの葉柄に認められた柔軟性の特徴と類似していることが明らかとなった。