本学科卒業生の遠藤宇称君(生物多様性研)による、一年草の外来種であるキク科植物コセンダングサの資源分配様式を基にした海岸地環境への順応に関する論文がFrontiers in Conservation Scienceに掲載されました。
概要
人為的に国内に持ち込まれ、その後さまざまな地域で繁殖する外来植物は、在来植物の生育環境に対する脅威となるだけではなく、自然生態系が作り上げてきた景観を損ねる意味でも、今後様々な研究を重ねることにより対処していかなくてはならない課題となっている。特に海岸地は、海からの恒常的な潮風が作り上げる特徴的な環境であり、そこに生育する植物は、その環境に対する何らかの順応様式を持つことが多い。そこで本研究では、国内の海岸地に侵入したキク科植物の一年草のコセンダングサを例に、海岸地における順応様式を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、海岸集団は草丈が低く、葉が大きく、さらに根への投資量が有意に多いことが明らかとなった。また海岸地集団は、成長とともに光合成資源を地上部ではなく地下部へ投資していくことが示された。本研究で用いたコセンダングサは海岸の砂地であったために、地下部からの水分吸収に加え固着促進のために地上部に対して地下部への投資が大きく、またこのような地下部への投資促進には、海岸地で地上部が受ける恒常的な潮風による機械的な振動が関与していることが示唆された。
尚、本研究は科学研究費助成事業基盤研究(C)および特別研究員奨励費の支援の下、実施されました。
Uta ENDO, Masayuki SHIBA, Tatsuya FUKUDA
The invasive alien species Bidens pilosa (Asteraceae) has successfully invaded and acclimated to coastal areas.
Frontiers in Conservation Science 6: 1604666
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcosc.2025.1604666