本専攻の瀧澤英一君(生物多様性研:修士課程1年)によるモクセイ科植物ネズミモチの海岸地適応様式に関する論文がJournal of the Japanese Society of Coastal Forestに掲載されました。
概要
海岸林に生育する植物は、内陸に生育する植物よりも海からの過剰なストレスを受けると考えられ、そのために何らかの形態的な変化を伴って適応していることが知られている。モクセイ科植物のネズミモチ (Ligustrum japonicum Thunb.) は内陸から海岸林にかけて広く生育しているために、海岸集団の適応様式を明らかにすることを目的として、四国と関東の異なる地域のネズミモチ集団とそれぞれの地域の内陸集団を対照として形態学的および解剖学的比較を行った。
その結果、どちらの地域も気孔の密度には変化が見られなかったものの、気孔のサイズを小さくすることにより適応していることが明らかとなった。このことは海岸地に生育するネズミモチが、過剰な蒸散の回避を成功させていることを示唆した。
尚、本研究は科学研究費助成事業基盤研究(C)の支援の下、実施されました。
Eiichi Takizawa, Tomoki Tate, Masayuki Shiba, Chihiro Ishii, Shinji Yoshizaki, Tatsuya Fukuda (2022) Coastal adaptation of Ligustrum japonicum Thunb. (Oleaceae). – A case study of stomatal adaptation pattern into coastal forests -. Journal of the Japanese Society of Coastal Forest 21: 1-7.