本専攻の柴政幸君(生物多様性研:修士課程2年)によるモッコク科植物ヒサカキの蛇紋岩地適応様式に関する論文がJournal of Plant Studiesに掲載されました。
概要
超塩基性であり保水性の低い蛇紋岩土壌は、そこに生育する植物に強い影響を及ぼすことが知られている。モッコク科植物ヒサカキ (Eurya japonica Thunb.) は、蛇紋岩土壌を含めた広い生育地を有するために、蛇紋岩土壌における植物へのストレスを明らかにするために、形態学的および解剖学的解析を行った。
その結果、ヒサカキは蛇紋岩地土壌に適応するために葉の多肉化と矮小化が認められ、前者は表皮細胞、柵状組織、海綿状組織の高さの減少により、また後者は細胞数の減少により形成されていることが明らかとなった。さらに気孔サイズも有意に低下していることが示された。特に気孔サイズに関しては、乾燥地で見られる変化と類似しているために、蛇紋岩土壌の保水性の低さに適応した変化である可能性が示された。
尚、本研究は科学研究費助成事業基盤研究(C)の支援の下、実施されました。
Masayuki Shiba, Tomoki Tate, Tatsuya Fukuda (2022) Adaptative Leaf Morphology of Eurya japonica Thunb. (Ternstroemiaceae) in Serpentine Areas. Journal of Plant Studies 11: 10-18
DOI: https://doi.org/10.5539/jps.v11n1p10
URL: https://ccsenet.org/journal/index.php/jps/article/download/0/0/46667/49858