本専攻の柴政幸君(生物多様性研:博士課程3年、日本学術振興会特別研究員DC2)による一年草の外来種であるキク科植物コセンダングサに対する風ストレスの低下が種子数の増加に寄与する論文がFrontiers in Plant Scienceに掲載されました。
概要
人為的に国内に持ち込まれ、その後さまざまな地域で繁殖する外来植物は、在来植物の生育環境に対する脅威となるだけではなく、自然生態系が作り上げてきた景観を損ねる意味でも、今後様々な研究を重ねることにより対処していかなくてはならない課題となっている。そこで本研究では、キク科植物の一年草で国内に広くみられるコセンダングサを例に、Open Top Chamber (OTC) による人為的に風ストレスを遮断させた集団(OTC集団)とその対照集団における生態学的解析を行った結果、OTC集団は有意に茎長や葉数が多くなり、その結果種子数もOTC集団の方が有意に多くなることが明らかとなった。風速の低下が茎の折損リスク軽減に繋がったために茎長や葉数の増加が可能となり、また葉数の増加は多くの光合成産物を獲得することが出来るために、OTC集団のコセンダングサは種子数を増加させることが出来たことが示された。構造物や建築物を中心とした都市化は、風を遮る効果を作り出し、またそこで繁殖したコセンダングサは、果実が人の衣服などにも付着する通称ひっつき虫とも呼ばれる構造をしているために、それの拡散に人が貢献しているかもしれません。
尚、本研究は科学研究費助成事業基盤研究(C)および特別研究員奨励費の支援の下、実施されました。
Masayuki SHIBA, Nagisa KOBAYASHI, Shiori HARADA, Tatsuya FUKUDA (2024)
Decrease in wind stress leads to an increase in the above ground morphology and number of seeds of an invasive alien species, Bidens pilosa (Asteraceae).
Frontiers in Plant Science 15: 1445437.
DOI: https://doi.org/10.3389/fpls.2024.1445437