柴政幸君(生物多様性研)による海岸地適応種であるキキョウ科ツリガネニンジンの蛇紋岩環境への適応メカニズムを明らかにした論文がEcological Reaserchに掲載されました。
概要:
超塩基性岩地である蛇紋岩地に生育する植物の特徴に関して、キキョウ科のツリガネニンジン(Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H. Hara)の蛇紋岩適応型(エコタイプ)に見られる特徴的な形態が、表現型可塑性によるものか、あるいは遺伝的な形態分化によるものかを明らかにするため、栽培実験を通じて根出葉の形態比較解析を行った。蛇紋岩地由来と非蛇紋岩地由来の集団を栽培して比較したところ、根出葉の輪郭には有意差が認められなかったが、葉のサイズは蛇紋岩地由来の集団で有意に小さいことが明らかとなり、また同一の蛇紋岩地由来の栽培個体群と野生個体群の間で根出葉を比較したところ、葉身や葉柄の輪郭およびサイズには有意差が認められなかったものの、単位面積あたりの葉重(LMA)には集団間で有意な差が見られた。さらに蛇紋岩地由来の集団(栽培および野生)では、非蛇紋岩地由来の集団と比較して、葉柄の形質が増大する際の葉身面積の増大の度合いがより緩やかであることが示された。これらの結果は、蛇紋岩地由来集団の根出葉が、葉身と葉柄の双方を含む全体的なサイズの縮小を特徴とすることを示唆するだけではなく、野生の蛇紋岩地由来集団で見られたLMAの増加が表現型可塑性によって誘導された可能性があるため、乾燥や貧栄養といった蛇紋岩地の特徴に対して保水性や、資源利用を抑えた成長に関与している可能性が示された。
尚、本研究は科学研究費助成事業基盤研究(C)および特別研究員奨励費の支援の下、実施されました。
Masayuki Shiba (客員研究員), Shunsuke Hara(修士課程2年), Kyohei Ohga, Tatsuya Fukuda
Morphological characteristics of radical leaves in the serpentine ecotype of Adenophora triphylla var. japonica (Campanulaceae) revealed by cultivation experiments.