メニュー 閉じる

生物多様性研究室の学生が第28回日本きのこ学会において発表を行いました

博士課程2年の原田栞里さんが、9/2に新潟で開催された第28回日本きのこ学会において発表しました。

演題:LF層の厚さに応じたアンモニア菌Sagaranella tylicolorの形態的適応の解明

演者:原田栞里(博士課程2年), 柴政幸(客員研究員), 鈴木彰, 福田達哉

要旨:

 きのこの柄は、傘をLF層(落葉層)上に持ち上げ、胞子散布を可能にする役割がある。しかし、地表面から傘までの高さがLF層の厚さに応じて変化するかどうかは明らかにされていない。アンモニア菌は、動物の死骸、糞、尿などの窒素資源が供給された後の林床に発生する化学生態菌群として定義されている[1]。アンモニア菌に関する野外研究はこれまで行われてきたが、野外において人為的にLF層の厚さを変化させた研究は行われてこなかった。本研究では、腐生性アンモニア菌イバリシメジ(Sagaranella tylicolor)を対象とし、LF層の厚さに対する子実体の形態応答を明らかにすることを目的とした。

 静岡県内の林床において、LF層の厚さを0~4cmへ人為的に調整した実験区を設け、窒素資源として尿素を施与した。各実験区に発生したイバリシメジの子実体を採集し、傘径、柄長および絶乾重を測定した。得られた各形態形質について、LF層の厚さごとに比較を行った。

 傘径、柄長および絶乾重はLF層の厚さが0~3 cmの範囲では、LF層が厚くなるにつれて増加する傾向がみられた。一方で、4cm区では傘径および絶乾重が減少したのに対し、柄長は増加した。既往研究では、実験区付近のLF層の平均的な厚さは3.5 cmであった。以上の結果から、イバリシメジはLF層の厚さが3 cmまでは、子実体の形態を連続的に変化させることで適応する可能性が示された。また、4 cm区の場合には、同様の形態を維持できず、柄の伸長を優先する成長様式へと移行すると考えられた。この形態変化は、LF層を突破し胞子散布に適した形態へと変化した可能性が示唆された。

PAGE TOP