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生物多様性研究室の学生が第90回日本植物学会において発表を行いました

修士課程2年の原駿輔君、修士課程1年の工藤澄玲さん、客員研究員の柴政幸君が、9/4に東京理科大学野田キャンパスにおいて開催された第90回日本植物学会において発表を行いました。

演題:ハマボッスの短距離海流散布の可能性および沿岸地域のマルチストレスに対する種子の発芽戦略
演者:原 駿輔(修士課程2年),丸井 裕暉(大学院修了生),柴 政幸(客員研究員),福田 達哉
要旨:
植物の種子は,散布の過程においてさまざまな環境ストレスにさらされている.二年草のハマボッス(サクラソウ科)は,直径約 1mm の黒褐色の種子を持ち,海洋性島の沿岸部に分布している.本種では海を介した種子散布の可能性が示唆されているが,海流による散布の実態や,沿岸域における複数のストレスが種子の発芽に影響を与えているかどうかは明らかではない.そこで本研究では,ハマボッスの種子が海流による散布を受けるかどうかを明らかにし,沿岸の地理的空間で種子が受ける複数のストレスが発芽に及ぼす影響を調べた.そのために塩水を用いた種子浮遊試験により,種子サイズごとの浮遊日数を測定した.さらに,種子を海砂と混合して振とう機を用いて摩擦を与え,またシリカゲルと混合して脱水処理を行った.その後,各処理後の種子の発芽率を測定した.その結果,ハマボッスの種子は数日間しか浮遊しなかったことから,海流による長距離散布は起こりにくいことが示唆された.また,物理的損傷および乾燥ストレスを施した種子の発芽率は無処理の種子と比較して,有意に高いことが示された.さらに,これらの結果を基に,オープンソースのラグランジュ粒子追跡フレームワークである OpenDrift を用いて,海流による短距離散布の可能性を議論した.

演題:湧水河川に生育する水生植物の多様な生活史
演者:工藤 澄玲(修士課1年),柴 政幸(客員研究員),福田 達哉
要旨:
外来種は陸上だけでなく,様々な水中環境へも表現型を変化させて侵入及び定着を可能にしている.湧水河川は山地河川と比べ多量の溶存 CO2,水温の変動が極めて小さい,非流域であるため水量の保持等の特徴から,植物の侵入及び定着に有利な環境であることが知られている.そのために,富士山由来の湧水河川では,外来種として頻出が多いクレソンが抽水形や沈水形に加えて気中型といった異なる生活史が確認されている.しかしクレソンがどのような生活史で湧水環境に定着しているのかは明らかになっていない.したがって本研究では静岡県三島湧水群の源兵衛川で 9月に採取された幼期の気中及び沈水集団の葉及び茎の形態及び微形態の観察を行い,湧水河川への適応様式を明らかにする.葉の押し葉標本を作製し,葉形,葉身,葉柄,小葉(5 枚の内最も大きい葉)の形態及び乾燥質量を計測した.また細胞固定液に保管したクレソンの気中葉と水中葉における細胞と気孔の形態を計測した.さらにクレソンの気中茎と水中茎の組織及び細胞の特徴について解析及び比較した.これらの結果からクレソンの気中個体と水中個体の生活史について議論する.

演題:渓流沿い植物における異なる支持器官間の 力学的特性および解剖学的特徴の共通性
演者:柴 政幸(客員研究員),福田 達哉
要旨:
河川沿い環境では,降雨によって突発的な洪水が生じ,河川沿 いに生育する植物は水流ストレスを受ける.こうした環境に適応 した渓流沿い植物では,異なる系統において狭葉化といった共通 した形質がみられ,葉身の形態変化によって水流ストレスを低減 していることが示唆されている.しかし,地上部が受ける水流ス トレスは,光合成器官である葉身だけでなく,葉柄・茎・枝など の支持器官にも影響を及ぼす.例えば,シダ植物のヤシャゼンマ イでは,支持器官である葉柄が曲がりやすく,しなやかに曲がる 力学的特性を有することが報告されている.また,キク科植物の ノコンギクの河川沿い集団では茎,ツツジ科植物のキシツツジで は枝が,近縁対照種と比較して曲がりやすく,大きく変形しやす い力学的特性を示すことが明らかになっている.このように,系 統の異なる渓流沿い植物において,異なる支持器官が類似した力 学的特性を示すことから,それらの背景には共通した解剖学的特 徴が存在する可能性がある.本研究では,系統の異なる渓流沿い 植物を対象に,異なる支持器官における力学的特性および解剖学 的特徴の共通性を明らかにし,渓流沿い植物の支持器官における 力学的適応様式について議論する.

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